What's Fab Lab?
ファブラボは、デジタルからアナログまでの多様な工作機械を備えた、実験的な市民工房のネットワークです。「Fab」とは「Fabrication(ものづくり)」と「Fabulous(素晴らしい)」という2つの意味が込められた造語で「個人による自由なものづくりの可能性を拡げ「自分たちの使うものを、使う人自身がつくる文化」を醸成することを目指しています。
ファブラボとしての条件
ファブラボの名称を利用するための条件として以下の4つの取り組みを遂行する事が必須条件として挙げられています。
1.一般市民に開かれていること
ファブラボは、個人的な創作や発明のために工作機械を開放し、ものづくりを民主化しようと取り組んでいます。そのため、無料もしくは金銭に変わる交換条件のもと、週に1回以上は一般に公開されていることが求められています。
2.ファブラボ憲章の理念に基づき運営されていること
Fab Charter(ファブラボ憲章)は、世界のファブラボが共有する基本理念や運営のガイドラインをまとめたものです。ファブラボと名乗る施設は、この内容をウェブサイトと施設内の目に触れる場所に掲示し、利用者に周知させることが求められています。
3. 共通の推奨機材を備えていること
すべてのファブラボが、ものづくりのノウハウや設計データを共有し、複製・改良していけるよう、機材を共通化しています。デジタル/アナログの様々な工作機械やハンドツールを組みあわせ、(ほぼ)あらゆるものを作り出せる環境を目指しています(ただし人を傷つけるものは除く)。そのため、レーザーカッターと3Dプリンターさえあればファブラボというわけではありませんし、デジタル機器以外の各種ハンドツールや電子工作ツールも欠かせません。
3-1.ファブラボの推奨機材
- レーザーカッター:紙や木材、アクリルなどの板材をカット、彫刻する
- CNCルーター:木の板材を切削加工し、家具などを作るための大型のルーター
- ミリングマシン:木材、樹脂、金属などを切削する高精度フライス盤
- ペーパー/ビニールカッター:紙やカッティングシートを切り出す
- 3Dプリンター:3Dデータをもとに、樹脂などを立体として出力する
- 各種ハンドツール:ヤスリやドライバー、電子回路のための半田ごてや測定機器など
4.国際規模のネットワークに参加すること
毎年開催される「世界ファブラボ会議」や、国境を超えたワークショップ等の連携プロジェクト、ビデオ会議システムなどを通じて国際的なファブラボのネットワークに参加し、その活動をオープンに共有することが求められます。ものづくりのノウハウやラボの運営などに関する課題を共有して連携することで、個々のラボ単体では得られないような価値を生み出します。このネットワークこそがファブラボにとって重要な特徴の一つであり、他のラボと接点を持たずに独立して活動する施設はファブラボとはいえません。
世界に広がるファブラボ・ネットワーク
Global FabLab Map: Fablab.io/labs/map
2002年にスタートしたファブラボは、MIT(マサチューセッツ工科大学)のニール・ガーシェンフェルド教授がその著書『ものづくり革命 パーソナル・ファブリケーションの夜明け』でファブラボを紹介して以来、その考え方が急速に世界に広まりました。2011年4月現在、少なくとも世界20カ国以上50か所以上にファブラボが存在しています。アメリカやヨーロッパの先進国ばかりでなく、ケニアやアフガニスタンなどの途上国にも広まっており、日本では2011年に「ファブラボ鎌倉」と「ファブラボつくば」がオープンしました。各ファブラボの運営形態は様々で、大学などの教育研究機関や地域のコミュニティセンター、文化施設と一体化したもの、NPO/NGO、あるいは個人によるものなど、それぞれが独自の運営を行っています。
世界のファブラボリスト:http://wiki.fablab.is/wiki/Portal:Labs
国境を越えたものづくりのコラボレーション 世界のファブラボは、ネットワークを通じて様々なコラボレーションを行っています。Fab Wikiなどを通じての情報共有を行うほか、ビデオ会議システムで繋がれており、24時間体制でシンクロしています。